温泉とともに歩んできた観光地・熱海の歴史

伊豆山神社
●伊豆山神社

地名の通り、海から熱い湯が湧き出ていたとされる「熱海」は、豊かに湧出する天然湯に恵まれた温泉地としての歴史を歩んできた街である。その歴史は古く一説には1,200年前から湯治場として栄え、過去には徳川家康にも愛されたという。

温泉地として栄える以前の熱海は「伊豆山神社」を中心に発展した。伊豆山神社は社伝によれば紀元前5世紀ごろに創建されたと言われている非常に古くからこの地の鎮守として崇敬を集める神社であり、現在も多くの参詣客を集める観光スポットのひとつとして人気を集めている。

ここは平氏によって伊豆に配流されていた源頼朝とのつながりが深く、配流時代には頻繁に参詣していたという。また後に妻となる北条政子との逢瀬の場所にも使われ、その由来から恋愛成就を祈りに来る参詣客も多いとのこと。

家康の湯
●家康の湯

熱海の湯を愛した徳川家康が天下を治めた江戸時代以降、この地は湯治場として江戸や近隣からの旅人を集める観光スポットとしての歴史を歩む。創業から200年以上の歴史を持つ「古屋旅館」など、老舗旅館の数々もこのころに開業している。

日本でもっとも有名な温泉地のひとつである熱海には、古来から湯を激しく噴出する「大湯間歇泉」や、日本国内でも珍しい横穴式の源泉「走り湯」など、温泉にまつわる見所が数多い。旅館やホテル・リゾートマンションではもちろん、日帰り温泉施設も整備されているので、様々なお湯を楽しめる点も魅力的だ。

現在特に人気を集めているのが、熱海駅前にある足湯スポット「家康の湯」だ。こちらは徳川家康が熱海に湯治に来てから400年を記念して整備されたもので、連日多くの観光客でにぎわっている。

お宮の松
●お宮の松

1896年には「豆相人車鉄道」が開業、さらに1925年には現在のJR熱海駅が開業するなど、東京とのつながりが強くなった明治・大正期には、政財界の大物や文人墨客が湯と風光明媚な風景を求めて、この地をたびたび訪れた。また温泉周辺は別荘地として開発が進み、関東近郊の高級リゾートとしての側面を持つようになった。熱海を代表するスポット「熱海梅園」がオープンしたのもこのころである。

太宰治や永井荷風などの文豪に愛され、また谷崎潤一郎の晩年の住処となった熱海には、多くの文学作品の舞台として取り上げられている。

その中でもっとも有名なのが尾崎紅葉の「金色夜叉」だろう。熱海サンビーチにほど近い場所には金色夜叉の最も有名なシーンで登場する「お宮の松」が植えられている。その脇には寛一がお宮を蹴り飛ばすそのシーンを再現した銅像が建てられている。

起雲閣
●起雲閣

高級リゾートとしての名残を感じられるスポットといえば「起雲閣」が挙げられるだろう。こちらは1919年に海運王・内田信也の別荘として建設されたもので、約3千坪もの敷地に風情豊かな庭園と往時の繁栄を偲ばせる洋館などが残されている。

起雲閣は戦後、旅館として活用され多くの文豪に愛された。現在は熱海市の所有となり、一般公開されている。

熱海サンビーチ
●熱海サンビーチ

戦後の高度経済成長期には首都圏の奥座敷として、多くの人々に親しまれる一大観光地としての地位を確立した。特に1964年に開業した東海道新幹線によって東京とは1時間以内で結ばれるようになって以降の成長は目を見張るものがある。このころには新婚旅行の定番スポットとして、また「東洋のハワイ」としてもてはやされた。

熱海を代表する海辺のスポット「熱海サンビーチ」が整備されたのもこの時期であり、ヤシの木が並ぶ南国リゾートのような雰囲気が高い人気を集めた。

バブル崩壊以後、熱海の衰退がメディアに報道されることもあったが、現在は数多くのリゾートマンションの建設が進み、首都圏から気軽にアクセスできる高級リゾートとしての側面を再び強くしようとしている。

このページをご覧の方はこんなページもご覧になっています。